1. 開業日から逆算する ― 約6週間を目安に組む
約6週間で準備する場合のスケジュール例です。制作内容や確認にかかる時間によって変わるため、納期を保証するものではありません。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 6週間前 | 制作の相談を始める。屋号の表記を確定し、ドメインを取る |
| 4〜5週間前 | 載せる内容を決める。原稿の元になる話をし、写真を撮るか手配する |
| 2〜4週間前 | 制作と内容の確認。必要に応じて修正を相談する |
| 開業日 | 公開。名刺・チラシ・地図のリンク先が初日から揃う |
制作期間そのものは、デジステップで約2週間〜1か月です。時間を食うのはむしろ前半の、屋号とドメインと原稿のほうです。ここは発注者にしか決められないからです。
逆に言えば、6週間を切っていても、公開する内容を絞れば対応できる場合があります。必要なページと材料の状況を整理し、全体の完成を待つか、1ページを先に公開するかを決めます。名刺の入稿だけが差し迫っている場合は、名刺が間に合わないときの順番に別の解を書きました。
2. 無くても進むもの ― 住所・写真・実績・ロゴ
「まだ何も無いので作れない」という相談は多いのですが、無くても進むものがほとんどです。制作の実務では、次のように扱います。
住所が未定。店舗や事務所の契約前なら、市区までの表記で公開できます。所在地が決まるまで構成や文章を先に作れます。告知ページでは「所在地は確定次第掲載」とし、来店を受け付ける時点では正確な住所と地図を載せます。販売・予約などを受け付ける場合は、必要な表示も公開前に確認します。
写真が無い。開業前は店も商品もまだ形になっていないのが普通です。外観・内装は開業直前に撮って差し替える前提で、先に構成と文章を固めます。それまでの間、雰囲気を伝える部分にはストック写真を使えますが、代表者の顔写真だけは本人のものにします。ここだけは代わりが利きません。スマホで撮ったもので構いません。
実績が無い。開業前に実績が無いのは当然で、隠すことでも恥じることでもありません。実績欄の代わりに置けるものが二つあります。一つは経歴。前職で何をどれだけやってきたかは、開業前でも書ける事実です。もう一つはモデルケース。「架空の相談例」と明記したうえで、依頼から納品までの進め方を示せば、実績として誤認させずに仕事の中身を伝えられます。
ロゴが無い。屋号の文字を整えた文字ロゴで公開し、あとから差し替えるのが定石です。ロゴの完成をサイト公開の条件にすると、たいていロゴが全体を遅らせます。
3. 先に整理したいもの ― 屋号・メニューと料金・連絡先
制作を具体化するうえで、先に方向を決めたいのが次の3つです。相談時にすべて確定している必要はありませんが、未定の項目には決める時期を置きます。
1. 屋号(店名・社名)の表記。サイトの題名であり、ドメインの元でもあります。ドメインに屋号を使うなら、ローマ字表記まで決めておくと、URLとメールアドレスの表記を揃えやすくなります。読みが二通りある屋号は、ここで表記を一本にしておかないと、この先ずっと揺れます。
2. メニューと料金。何をいくらで提供するかは、ホームページの本体です。ここが「開業してから考える」のままだと、書けるのは挨拶文だけになります。料金は目安や算定方法でも構いません。個別見積もりなら、金額が変わる条件と見積もりまでの流れを示すと、相談前の疑問に答えられます。
3. 連絡先。問い合わせをどこで受けるか。フォームか、LINEか、電話か。開業前後は日中に電話へ出られないことが多いので、フォームかLINEを主にするのが現実的です。
この3つは、事業主の判断が必要な項目です。制作会社は整理や提案を手伝えますが、提供内容や問い合わせへの対応を代わりに決めることはできません。業種ごとの掲載事項も含め、残る準備を相談時に洗い出します。
4. 開業届や登記の前でも、契約できるか
できます。順序を心配されることが多いので、実務の扱いを書いておきます。
- 契約の名義。開業届や法人登記の前は、個人名で契約します。法人設立後に契約名義や請求先を変えたい場合は、依頼先と変更の手続きも取り決めます。
- ドメインの取得。個人で取得できるドメインなら、開業前から準備できます。登録資格が定められている種類もあるため、希望するドメインの条件に沿って進めます。むしろ屋号が決まった時点で先に取っておくほうが安全です。ドメインは早い者勝ちで、開業日を待ってくれません。
- 開業前である旨の表記。「○月○日オープン予定」という表記で公開し、開業日に外します。この差し替えは軽微な修正の範囲です。
一つだけ注意があります。許認可が要る業種(建設業、宅建業、古物商、飲食店営業など)は、許可が下りる前に「許可済み」と読める表記をしないことです。実際の申請状況と掲載内容を一致させ、営業や広告を始められる時期は所管窓口の案内に沿って決めます。
5. 「開業してから作る」で何を失うか
開業後に作り始めることもできます。その場合は、完成まで何を使って案内するかを決めておくと、準備の抜けを減らせます。
公開日と、検索で見つかる日は別です。Googleはクロールに数日から数週間かかる場合があり、インデックス登録も保証されないと案内しています。公開した日に屋号の検索で見つかる前提にせず、名刺やSNSから直接ページを案内する方法も用意できます。公開から日が経っても屋号で出てこないときに確かめる順番は、会社名で検索しても出てこない場合の記事に書きました。
名刺はサイトの完成前でも作れます。ドメインを先に確保すればURLを印刷できます。ただし、配布日にはアクセスされるため、事業内容と連絡先を載せた1ページを先に公開しておくと安心です。名刺とサイトを並行して準備する順番を別記事にまとめています。
営業開始後も、材料確認の時間は必要です。原稿の確認、料金の決定、写真の撮影は、制作を依頼しても残る作業です。開業後に進めるなら、誰がいつ確認するかまで予定に入れると進行を管理しやすくなります。
6. 既存の会社の新規事業は、足すか、分けるか
既存の会社が新しい事業を始める場合は、別サイトを作る方法と、今のサイトにページを追加する方法があります。
同じ会社のお客さまに届けるサービスなら、既存サイトへの追加から考えられます。会社概要や問い合わせ先を共用でき、更新する場所も増やさずに済みます。
ブランド名や客層が異なるなら、別サイトが合う場合があります。その事業に合う説明や見せ方を設計しやすくなる一方で、ドメインや更新の管理は増えます。
ブランド名が違うだけで、必ず別サイトにする必要はありません。既存サイト内でも独立した紹介ページを作れます。誰に何を伝えるか、運営会社との関係をどう示すか、更新を誰が担うかを揃えて考えると、構成を決めやすくなります。更新を誰が担うかによって、WordPressのような管理画面が要るかも変わります。作業ごとに必要な権限は、WordPressは必要かを確かめた記事に書きました。